岡山  瀬戸内国際芸術祭 3月20日開幕へ準備着々

3年に1度の現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭2016」が3月20日開幕する。3回目の今年は岡山、香川両県の12の島々と二つの港を会場に、春(3月20日?4月17日)、夏(7月18日ー9月4日)、秋(10月8日ー11月6日)の3会期計108日間にわたり、多彩な催しが繰り広げられる。開幕まで1カ月を切り、岡山県側の会場では準備が着々と進んでいる。
 プロジェクト数は前回を上回り、26の国・地域からの計233。人気、話題のアーティストのうち、大竹伸朗さんは初回から3回連続の出展。直島、女木島に次ぐ今回は、豊島で海と島の記憶をテーマに漁船建造用の木型を工場跡に設ける。初参加のスプツニ子!さんは「豊島八百万(やおよろず)ラボ」と題して、日本神話にヒントを得た映像を古民家で上映する。
 服飾デザイナーのコシノジュンコさんは芸術家集団・アトリエオモヤと共作。小豆島・土庄港で空間芸術を展開するほか、自身がデザインした服を展示する。建築家安藤忠雄さんは直島で「桜の森プロジェクト」を企画し、これまでに約130本の桜を植樹した。
 「動きのあるパフォーミングアーツを通じて華やいだ雰囲気を演出したい」(芸術祭実行委員会事務局)との狙いから、岡山市・犬島では国内のダンスカンパニーなどが作品を披露。高松港ではアートを媒介とするアジアとの交流深化や食の充実を図る催しが展開される。
 各会場では開幕に向け、準備が進む。犬島では、築約200年の古民家を再生した家プロジェクト「C邸」に、美術家下平千夏さんが2月初めから滞在制作中。ナイロン製の黄色い水糸を島民と一緒に編んでおり、水糸を張り巡らせた既存作品「エーテル」をパワーアップする。「石職人の家跡」で石の産地として栄えた島の記憶を地面に描いた美術家淺井裕介さんをはじめ、アートディレクター長谷川祐子さん、建築家妹島和世さんらの来島も続いている。
 玉野市・宇野港では、放置自転車を芸術的に再生させる「アートレンタサイクル」を、美術作家小沢敦志さんが東京のアトリエで制作中。港の歴史に光を当てる「『連絡船の町』プロジェクト」の一環で昨年末まで募集した「撮り船」フォトコンテストには、国内外の船舶や港の風景を収めた1699点が寄せられた。作家椎名誠さんら4人が19点を選び、港そばの築港商店街に展示する。
 また、オープニングイベントでタップパフォーマンスを披露する高校生や市民らのグループ「玉野SEA達歩(タップ)団」(約90人)は昨年9月から月1、2回、熱の入った練習を重ねている。メンバーは「芸術祭を華やかに盛り上げたい」と意気込んでいる。
 芸術祭に訪れた観光客は初回93万人、前回107万人。実行委会長の浜田恵造香川県知事は「期待に応えるだけでなく地域の活性化を図るためにも、全力で準備に取り組む」としている。