京都・東山で見逃したくない桜の名所をそぞろ歩く  絵画にも紛う美しさ!
円山公園 さくら

●"左近の桜"と"右近の橘"から京都一のお花見スポットでしだれ桜を
京都で見る桜は、やはりひと味違う。それはなにも有名な寺社の境内の桜だけでなく、舞妓(まいこ)や人力車の行き交う街路や、公園の桜にも特別な"艶(あで)やかさ"を感じる。今回は、京都の中でも特に観光エリアとして人気の高い東山の桜の名所3カ所を巡るモデルコースを紹介しよう。拝観時間も含め、2?3時間もあれば歩けるコースなので、出張で余った時間などを使った花見を楽しむことも可能だ。

○平安神宮で"左近の桜"を見る

最初に向かうのは、京都駅からバスで30分ほどの「平安神宮」(京都市左京区)。鴨川の東に、社殿と約一万坪の「神苑」(回遊式庭園)が広がる、京都を代表する観光名所のひとつだ。

 平安神宮の社殿は明治28年(1895)、平安遷都1,100年を記念して、平安京の朝堂院(大内裏の正庁)の一部である応天門と大極殿を原寸の2/3のスケールで再現したもの。縮小サイズとはいえ、そのスケールの大きさには圧倒される。

 大極殿の前に植えられているのが、いわゆる"左近の桜"と"右近の橘"だ。左近の桜はそれほど大きな木ではないが、この有名な桜の木の前に立つとやはり感慨深い。ちなみに、左近の桜と右近の橘は、現在の京都御所の紫宸殿(ししんでん)前にも植えられている。

さて、もし時間に余裕があるなら、社殿を囲むように広がる「神苑」も歩いてみたいところだ。「神苑」は南神苑・西神苑・中神苑・東神苑の4つの庭園から成り、桜の時期は一面に紅枝垂(しだ)れ桜の咲く南神苑が特にオススメだ。

●information
平安神宮
 神苑(回遊式庭園)の拝観所要時間約1時間
 住所: 京都市左京区岡崎西天王町
アクセス: JR「京都駅」より市バスで「岡崎公園 美術館・平安神宮前」下車、徒歩5分

○露店のにぎやかさと古木のしぶさと

平安神宮を南へ出ると、京都府立図書館、京都市美術館、国立近代美術館などの建物が両側に建ち並んでいる。その先の大きな鳥居をくぐると琵琶湖疎水(そすい)に架かる橋があり、橋の上からは水の上に枝を伸ばす桜の下を行き過ぎる遊覧船が見える。

 平安神宮からまっすぐ南へ続く道は"神宮道"といい、この道を15分ほど歩いて行くと、知恩院の巨大な山門の前を通り過ぎる。そして、そのすぐ先に広がるのが、花街・祇園の一角に位置し、京都一のお花見スポットとして名高い「円山(まるやま)公園」(京都市東山区)だ。

 円山公園と、公園に隣接する"祇園さん"こと八坂神社境内には、桜の季節は露店もたくさん出てとてもにぎやか。公園内にはかなりの数の桜が植えられているが、ひときわ目立つのが"円山の枝垂桜"、または"祇園の夜桜"とも呼ばれる枝垂れ桜の古木。現在の木は、昭和22年(1947)に枯死した初代の後を継ぐ2代目で、昭和のはじめの頃に初代の木から種子を採って育てられた老木だが、見事な枝ぶりは今なお健在。

 明治から昭和初期にかけて活躍した歌人の与謝野晶子は、妖艶な祇園の夜桜の様子を「清水へ祇園をよぎる桜月夜 今宵遭ふ人みな美しき」と和歌に詠んだ。昼間見る桜ももちろん美しいが、花街・祇園の桜の真骨頂はやはり夜桜だろう。可能であれば、ぜひ夜桜見物をオススメしたい。

●information
円山公園
 住所: 京都府京都市東山区円山町
アクセス: 京阪電車「祇園四条」駅より徒歩約7分

 続いては、夜桜にもオススメなあの伝統的建造物群保存地区をそぞろ歩いてみようではないか。

●風情ある伝統的建造物群の側でお酒とともに夜桜を
○これぞ京都! 祇園新橋の夜桜散歩

 円山公園を再び北に出て、知恩院山門前まで戻ったら、西に向かって歩いて行こう。150mほど先で「東大路通」を渡ったら、その先へと続く「新橋通」という細い路地を歩いて行く。

しばらくは両側にビルの建つふつうの路地が続くが、200mほど歩き「花見小路通」との交差点を越えると、そこには別世界が広がっている。このエリアは「祇園新橋伝統的建造物群保存地区」(京都市東山区)と呼ばれている。

 石畳の道の両側には、京都の伝統建築である「紅殻格子(べんがらごうし)」の家々が建ち並ぶ。そして白川に架かる巽橋(たつみばし)のたもとには、伎芸の上達にご利益があるとされ、舞妓や芸妓(げいこ)の信仰を集める「辰巳大明神」のお社が。まさに、これぞ京都! という風情だ。白川の流れに寄り沿うようにして桜が植えられているので、このまま桜散歩を楽しむとしよう。

この辺りで桜を楽しむなら、やはり夜桜がいい。日暮れ後、お茶屋や宿屋の軒先に明かりが灯りはじめる中、夜風に吹かれて桜の花びらが白川の川面に舞い落ちていく。そんな風情を楽しみながら四条大橋まで歩き、橋の向こうの先斗町(ぽんとちょう)でお酒をちょっと引っかけてみたりすれば、最高にぜいたくな京都の夜になりそうだ。

●information
祇園新橋伝統的建造物群保存地区
 住所: 東山区元吉町・末吉町周域
アクセス: 京阪電車「祇園四条」駅より徒歩約3分

○ちょっと足を伸ばして高台寺へ

 もし時間に余裕があるなら、東山周辺では「高台寺」(京都市東山区)も桜のオススメのスポットなので、立ち寄りなんてどうだろうか。円山公園から南へ200mほど歩を進めると、左手に寺院の塀が見えてくる。

 高台寺は豊臣秀吉の妻・ねね(北政所)ゆかりの寺であることから"ねねの寺"の通称で知られ、門前道は"ねねの道"と呼ばれる。この付近からは東山のシンボル・八坂塔と桜のコラボが楽しめるので、記念撮影にはもってこいだ。また、高台寺の方丈前庭には大きな枝垂れ桜が植えられており、桜の季節は夜間ライトアップも行われる。

●information
高台寺
 住所: 京都市東山区高台寺下河原町
アクセス: 京阪電車「祇園四条」駅より徒歩約10分

 天気予報サイト「ウェザーニュース」が3月15日に発表した予報によると、2016年の桜の開花は3月21日ごろとのこと。京都市周辺では3月26?31日にかけて開花し、4月初めに見頃となるようなので、タイミングを逃すことなく桜のはかない美しさを味わっていただきたい。
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参考

絵画にも紛う美しさ! 京都・東山で見逃したくない桜の名所をそぞろ歩く
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泣ける京都の桜物語。京で愛される桜に隠された5つの感動エピソード

これまでも京都の桜の魅力についてはたびたびお伝えしてきましたが、今回お届けするのは、それぞれの桜にまつわる知られざるエピソード。無料メルマガ『おもしろい京都案内』に、胸に響くさまざまなストーリーが紹介されています。
京都の桜と共に語り継がれる物語
桜というのは自然の一部です。しかし我々が良く知っているソメイヨシノはクローン桜のようなものだってご存知でしたか? 接木が簡単で成長が早く花が枝いっぱいに咲くから明治から昭和初期にかけて大流行して全国各地に植樹されたのです。特に日露戦争直後などの戦勝記念の時に日本中に植えまくったとのこと。

めしべが退化して花粉もないソメイヨシノは自生出来ず、ミツバチなどの昆虫や鳥もあまり寄りつかないようです。そんなクローンのような桜は日本国中どこで見てもみんな同じということになります。「まあ、キレイ!」と言った後に他に出る言葉があまり見当たらないのです。京都の桜を愛でる人達から言わせるとそれは本当の花見とは言わないのでしょう。

近年ソメイヨシノが全国的に枯れてきているという報告があるそうです。そこで初めてソメイヨシノの寿命はだいたい100年ぐらいだということがわかってきたようです。明治以降に彼岸桜と大島桜を交配させて作られたとされるソメイヨシノにはそのものの美しさはあります。しかし城や寺、神社に植わっているのはどう考えてもおかしいことがわかります。ソメイヨシノは戦国時代や江戸時代にはなかった桜なのでそのような景気を愛でたところで少し冷めてしまいます。「この桜吹雪が目にはいらねえか?。」の遠山の金さんの桜吹雪の入れ墨もソメイヨシノというのも厳密にはおかしいわけです。
本物の花見とは?
日本に自生している桜は、大島桜、山桜、彼岸桜の3つで実を成して自生できる桜はこの3つだけのようです。あとは突然変異か品種改良したものばかりでめしべが退化しているから接木でないと自生出来ません。自生の桜は環境に左右されるから咲かない年もあります。雨が少なかったり夏が暑すぎたりすれば咲かないかもしれません。咲いても必ずしもキレイに咲いてくれるとは限りません。そんな桜がきれいに咲き誇る姿を見た時に初めてこみあげてくるものがあるというものです。

新緑の桜の葉の鮮やかさや寒い時期にエネルギーをため込んでいる幹のたくましさなども花見の一部です。桜にとって花が咲くのは1年の最後です。そんな桜の生き様を考えながら見る満開の桜にはドンチャン騒ぎなんかをしていては得られないものがあります。

そこで今回は京都で咲く桜の中で感動の物語と共に語り継がれているものをいくつか取り上げて紹介したいと思います。
容保(かたもり)桜 京都府庁旧本館


2010年に桜守で植藤造園の当代16代目の佐野藤右衛門さんが発見したヤマザクラです。花びらがやや大きく表皮は剥がれたような木肌をしているというオオシマザクラの特徴も持っています。ヤマザクラが変異した桜として調査した結果、ヤマザクラのとても珍しい品種であることが判明しました。

京都府庁旧本館は幕末、京都守護職として会津(福島)から来た会津藩主・松平容保の上屋敷があった場所です。これにちなんで「容保桜」と名付けられました。新選組を組織した容保、花のように若くして散った新選組の命、幕府側につき新政府軍と戦った会津藩の悲劇などを見てきた桜です。府庁旧本館はレンガ造りの西洋建築で国の重要文化財で中庭には初代祇園しだれ桜の孫桜も咲き誇ります。

祇園しだれ桜について詳しくはこちらをご覧ください。

● 京都の桜を育てて100年、「桜守」佐野藤右衛門が勧める桜の名所
墨染桜 墨染寺
平安時代の歌人・上野岑雄(かんつけのみねお)が、友人で初の関白となった藤原基経が亡くなったのを悼んで詠んだ歌があります。

「深草の野辺の桜し心あらば 今年ばかりは墨染に咲け」(古今和歌集)

桜の花に心があるならば、せめて今年は墨染色に咲いてほしいという仲の良かった友達を偲ぶ切々たる悲しみが伝わってきます。京うちわで有名な伏見深草周辺に墨染(すみぞめ)という地名があります。この歌を聞いた桜が薄墨色に咲いたためこの辺りを墨染と呼ぶようになったといいます。1,000年以上前からこの地は墨染と呼ばれていることになります。そして墨染(ぼくせん)寺という小さな寺の境内に墨染桜が今もひっそりと植わっています。謡曲や能でも取り上げられ、芸能関係者が多く訪れました。

墨染桜は開花当初は、実際は白い色をしていますが見ようによっては薄墨色に見えるというのがいわれです。開花はソメイヨシノより1週間ほど遅く、満開になるとピンク色に咲きます。この歌を胸に刻み墨染寺に花見に行くと特別な感動が得られるはずです。
関雪(かんせつ)桜 哲学の道



琵琶湖疏水沿いの散策路である哲学の道の両脇に咲くソメイヨシノは「関雪桜」と呼ばれています。明治の巨匠で日本画家・橋本関雪のことです。関雪は神戸に生まれ、東京で絵画の修業をした後、京都で竹内栖鳳(せいほう)に師事し画家として大成します。京都では晩年銀閣寺に近いアトリエ兼住居「白沙村荘(はくさそんそう)」で過ごしました。

京都に来た数年間は食べていけるのもままならいような画家とても苦労しました。一膳のご飯を妻と分けて食べるほど貧しかったといいます。大成してからは宝塚、大津、中国の上海などにも別荘を買うほどの建築マニアでした。欧州外遊の時は当時知り合ったドイツ人の女性を連れて帰ってきたりとやりたい放題だったエピソードも残っています。京都では夜な夜な毎晩のように祇園に通い芸者遊びに興じていたといいます。

妻ヨネは関雪を貧しい時から支えたのは多くの京都の人達の温かな援助だったとその恩を忘れませんでした。関雪が大枚をはたいて建築物を買ったり毎晩のように祇園で散在している間もヨネは倹約に努めました。そして、ヨネの発案で貧しい時良くしてくれた京都の人のためにと大正10年に桜の苗360本を京都市に寄贈します。哲学の道に咲く桜には文人のサクセスストーリーと心温まる夫婦愛なくしては存在しないものだったのです。
おかめ桜 千本釈迦堂



千本釈迦堂の正式名は大報恩寺(だいほうおんじ)といい京都市内最古の本堂で有名です。その本堂前にあるしだれ桜が「おかめ桜」です。鎌倉時代、本堂を建てた大工の棟梁・長井飛騨守高次(ながいひだのかみたかつぐ)の奥さんの名前が、お阿亀(かめ)さんです。おかめ納豆などで有名な、あのおかめです。

本堂を建てる時に棟梁は誤って親柱の寸法を短く切り過ぎてしまいました。棟梁は自らの過ちに苦悩しました。そんな夫を見ていたおかめは棟梁に枡組みを使うようアドバイスして、無事に本堂は完成します。しかし、おかめは女性のアドバイスで男の仕事が救われたことが知られたら棟梁の恥になると口封じをします。おかめは本堂の上棟式を待たずに自害してしまいます。嘆き悲しんだ棟梁は上棟の日に妻の冥福を祈っておかめのお面を御幣に付けて飾りました。

本堂前にあるしだれ桜はかわいらしいおかめ像のすぐ近くで咲き誇ります。満開のしだれ桜は空から落ちてくるおかめの涙のようにも見えます。ソメイヨシノより少し早めに咲く千本釈迦堂のおかめ桜はとても見事なので必見です。
御車(みくるま)返しの桜 地主神社
清水寺の境内、本堂の裏手にある地主神社はえんむすびで有名な神社です。地主神社の境内に置かれている恋占いの石の周りはいつも若い男女でにぎわっています。拝殿奥にある一見見逃してしまうぐらい小ぶりな桜が地主桜です。別名を御車返しの桜といいます。811年、嵯峨天皇が地主神社に行幸された時に地主桜のあまりの美しさに3度車を引き返して見たことからこの名が付きました。

地主桜は1本の木に八重と一重の花が同時に咲く珍しい品種です。平安時代からその美しさは都では有名になり、謡曲「田村」や「熊野」にも登場する銘木です。白川女の花使いによっても毎年宮中に献上されていました。今でも4月17日のさくら祭では白川女による地主桜の献花や謡曲の奉納などが行われています。

いかがでしたか? 物語を知ってから実際に見に行った時のことを思い出すと今でも涙が込み上げてきます。これを書いていて再びその時の情景が浮かびグッとくるものがありました。今回ご紹介したのはほんの一部ですが、京都の桜にはいくつもの物語があります。そんなことを知りながら1人で眺める花見は最高に贅沢な時間になることでしょう。
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参考

泣ける京都の桜物語。京で愛される桜に隠された5つの感動エピソード

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